研究


研究方針

 私たちの研究の目的は、私たちが直接手に取ることができない地球深部の構造・ダイナミクス・進化を解明することにあります。構造を解明するとは、その化学組成は何か、どのような鉱物で構成されているか、どのくらい熱いかを知ることです。ダイナミクスを解明するとは、マントルや核がどのくらいの速さで対流しているか、その対流パターンはどのようになっているか、それが地表でのテクトニクスや火成活動をどのように影響を与えているかを知ることです。そして、形成初期に地球内部の構造はどのようであり、それが45億年の間にどのように変化してきたかを知ることが、進化過程の解明です。

 上記の問題を明らかにするためには、地球内部を構成している物質の物理的・化学的性質の知識が必要不可欠です。そして、地球内部は高温高圧下にあるので、私たちは、地球内部構成物質の物性を高温高圧実験の手法で決定しています。地球内部物性の研究に用いられる高温高圧装置には、主として川井型マルチアンビル装置とダイヤモンドアンビルセルの二種類がありますが、私たちは川井型マルチアンビル装置を主な研究手段としています。

私たちが取り組んでいる課題には以下のものがあります。詳細は各ページをご参照ください。


地球内部の水について

地球内部の研究者の多くは、水はマントル鉱物の物性を大きく変えるので、マントルダイナミクスを考える上で重要であると考えられており、この前提の下で研究を進めています。私も水の重要性を全否定しませんが、全ての研究者が同じ前提で同じ方向性で研究を進めるのは危険だと思っています。水の影響が検知できなかった実験は、仮にそれが正しい実験結果であっても、失敗とみなされて闇に葬られてしまいます。そこで、私は、地球内部物質の物性への水の影響を調べる場合には、以下の出発点から始めています。

  • 水の鉱物物性への影響は高温では減少する。
    • 水のマントル物性への効果は外因的(extrinsic)なので低温で卓越し、高温では内因的(intrinsic)なメカニズムが卓越する。
  • 水のマントル物性への影響があるなら、それは微量融体の為である。
    • マントルには微量のCO2が存在し、それによるマントルペリドタイトの部分融解開始温度はマントルの地温曲線付近にあるので、通常のマントルには必ず微量融体が存在する[Dasgupta & Hirschmann, 2010]。
    • マントルの水の多くはこの微量融体に含まれる。

これに反する実験結果が得られた場合は勿論それに従いますが、まずはこの出発点から始めています。