レオロジー


プレート運動・地震活動・火山活動などの様々な地球物理学的・地質学的現象は、マントル対流によって引き起こされていますので、マントル対流を定量的に理 解する事は本質的に重要であり、そのためにはマントル鉱物の流動則を知る事が必要不可欠です。マントル鉱物の流動則を決定するための直接の方法は変形実験 を行うことですが、マントルの超高圧高温条件下で信頼性の高い変形実験を行うことは非常に困難です。また、マントル内の歪み速度は例えば10(-15) /s程度と考えられますが、超高圧変形実験装置中の歪み速度の下限は10(-6)~10(-4) /sなので、変形実験の結果から地球のマントル内の流動を議論するには、10桁もの外挿を必要としますので、変形実験の結果を他の手法で検討する必要があ ります。

以上の理由で、私たちは直接的な変形実験ではない他の手法でマントル鉱物の流動則に関する研究を行っています。その中の一つは珪素自己拡散係数測定で す。非常にゆっくりした変形では拡散を介して鉱物は変形すると考えられ、中でも最も速度の遅い拡散が変形を支配すると考えられます。珪酸塩鉱物では最も拡 散係数の小さな元素は珪素であるので、珪素自己拡散係数を測定すれば、極低歪み速度の変形に関するヒントが得られます。勿論、流動則を珪素自己拡散係数か ら直接求める事は非常に危ういことですが、流動則の温度・圧力・組成依存性を珪素自己拡散係数から推定する事は意味あることであると考えています。これま で私たちはフォルステライトの珪素及び酸素の自己拡散係数の温度・圧力・含水量を決定しましてきましたが、現在はワズレアイトに対して測定を行っていま す。

もう一つの手法は、転位回復実験です。この手法では、変形した結晶中を準静水圧下で焼き鈍し、転位密度を減少させます。転位密度の現象速度は転位移動度に 比例すると考えられますので、転位密度現象速度の温度・圧力・組成依存性から、転位移動度の温度・圧力・組成依存性を見積もることが出来ます。現在、私た ちは、天然のカンラン石についてこの測定を行っています。また、共同研究者のHongzhan Fei博士のリングウッダイトとブリッジマナイトの転位移動度の温度・含水量依存性に関する研究の共同研究者にさせていただいています。


現在進行中のプロジェクト

過去のプロジェクト